マウントを問わず、DSLR界における最強の標準ズームレンズはどれか?――そんなことを議題に挙げてしまうと、百家争鳴してまとまらないと思う。でも“最良”の標準ズームレンズは? とすれば、少なくとも僕は、12-60mm f2.8-4.0 SWDを挙げる。あえて対抗馬を求めるなら、シグマの17-70mmかなあ。
絶対的な質量だけ見れば、決して軽量級とは言えないレンズだけれど、換算画角24-120mmという万能さ、望遠端でもf4を維持する明るさ、そしてリリース当時“世界最速”が謳われた超音波アクチュエーター式のフォーカスユニットを備える点を加味すれば、納得が行く。加えて防塵防滴が奢られている。TIPAによる「ベスト・エキスパート・レンズ」の称号は、伊達ではないというところか。
(E-30,LEICA-D Summilux 25mm f1.4,ISO200)
加えて僕が“最良”だと思うゆえんは、このレンズの近接能力。最短撮影距離25cm、最大撮影倍率0.28倍という数値は、フルサイズのハーフマクロか、それ以上のマクロ性能を持つことを意味する。実際、苦労せずともこんな感じのサイズで撮れる。
(E-30,Zuiko Digital 12-60mm f2.8-4.0 SWD,ISO200,テレ端開放)
フルサイズの24-120ズームは開放からの性能に難があり、結局絞らなきゃいけない(と僕は思う)し、そもそも機材一式がデカくつく。APS-Cの換算画角24mmからのズームは、周辺減光がひどい(ものが多い)。実際、α700&16-80mmZAの広角開放は「えっと、ピンホール……?」的な落ち込みを見せてくれた。f5.6以上に絞れば改善してくるけど、それなら開放から飛ばせる12-60mmを使ったほうが、精神衛生上、良い。
(E-30,Zuiko Digital 12-60mm f2.8-4.0 SWD,ISO200)
一般に4/3のレンズは、焦点距離に対する像の拡大率が大きいからかもしれないけれど、色収差が目立つ傾向があると思う(だからパナソニックボディは、ボディ側で色収差補正を自動でかける)。でも12-60mmにおいては、目立たない。それと、ワイド端では(後補正しにくい)陣笠上の歪曲が出るけれど、ほかのマウントの24mm開始ズームと同等程度だし、28mm相当域では歪曲は極少になる。
大艦巨砲の戦艦ではないけれど、速度・性能ともにバランスに優れた新鋭巡洋艦という佇まいの、このレンズ。今現在の4/3の状況を踏まえると、中途半端にボディにお金をかけるより、E-520あたりを中古で安価に探し、セーブしたコストで12-60mmを入手するというのも、ありかなと思う。
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