フォーサーズ唯一といえる、大口径の、標準画角単焦点。僕がフォーサーズから離れられない理由でもあるレンズ。インナーフォーカスのため前玉の移動や回転がなくホールド感が良いのは当然として、一般的なフルサイズ用50mmレンズよりもぐっと寄れる(ズミは38cm、一般的なフルサイズ用50mmは45cm)ので、テーブルフォトなどにも使いやすい。実際、7cmの差はでかい。ところで本稿では、Leica-D Summilux 25mm f1.4 ASPH.、略して“ズミ”と呼びます。
(E-30,Leica-D Summilux 25mm f1.4,ISO200)
「パナソニックのなんちゃってライカ笑」って言う向きもあるのかもしれないけれど、ドイツの設計思想と日本の生産技術が融合した、最高のレンズじゃん、と僕は思う。ガンレフの測定結果からも分かるとおり、解像感は絞り開放で最大値(周辺まで含めればf2.0で最大)。ただし開放では、被写体により色収差が気になるけれど、f2.0まで絞ればほぼ気にならないレベル。僕が所有するPlanar 85mm f1.4ZAは、開放ではフレアっぽく、絞るに連れてリニアに解像感を増し、f5.6で最大の解像感を迎えるけれど、ズミは先行逃げ切りタイプ。一般的な大口径レンズは、「ボケさせたければ画質は我慢してね。画質が気になるなら絞ってね」というスタンスだけど、ズミの場合は絞り開放近辺がボケも、画質も上だということ。つまり大口径を開放から味わうという意味では、ズミの右にでるものはない(と言い切る)。あえて言えばZD14-35mm f2.0かなあ?
(E-30,Leica-D Summilux 25mm f1.4,ISO200,上海のオサレカフェ店員)
換算画角50mmのレンズとして考えると、でかいし重い。でもE-3/30とのボディバランスはとても良い。金属鏡筒は高級感増進に一役買っている。レンズフードは植毛もなく、ちゃちいけど。
実はE-420/520/30およびE-P1/2のコントラストAF(ハイスピードイメージャAF)に対応しているので、これらの機種での運用性がとても高い。f1.4でのAFジャスピンはシビアだが、AFセンサーの精度に依存しないコントラストAFなら、バシっと決まることも多い。あえてネガを挙げるならば、「超音波モーター非採用」「絞りリングがオリンパスボディで機能しない」の2点だろうか? 超音波モーターは、鏡筒がこれ以上太く重くなるくらいなら、無くても良いと思うが、絞りリングは使いたい。オリンパスとの調整が大変だと思うけれど、LEICA Dに投資したユーザーに対する餞として、パナには頑張ってみて欲しい(このレンズのことをパナが覚えているのなら……)。
(E-30,Leica-D Summilux 25mm f1.4,ISO200)
4/3はボケない……と言われるけれど、ボケ量のみで考えるとフルの50mm f2.8と同等なわけで、これはかなりのボケ量といえる。だいたいフルの開放なんて、ぽやぽやしてて、収差もあって、あまり使わない(ですよね?)。でもズミは、開放から最大の解像間を演出してくれ、またフルの50mm単焦点よりも7cmぶん寄れるため、ボケをコントロールできる範囲も大きい。つまり実戦(実写)では「ボケが半分」と言われるほどの差は出ないということ。AFの聞くライカとして趣味性も高く、「目的無しにふらっと散歩する」お供に最適なレンズ。もしパナソニックがディスコンを決めたら、もう一本買い増すつもり。本当に。
(E-30,Leica-D Summilux 25mm f1.4,ISO200)
実際のところ、このレンズの一番の問題は、Micro4/3のLumix G 20mm f1.7だと思う。安いし、コンパクトだし、ボディも込みで相当軽量にできるから。でもあちらは、開放での減光がかなり目立つ。「カメラなんてケータイので十分じゃん?」というこのご時勢、レンズ交換式のシステムカメラに投資すること自体、ムダを楽しむ気持ちがないとできない。ズミのほうが、明るく、高級感があり、そして持っている人が少ない(コレ重要)。そもそも、EFの50mm f1.2と50mm f1.4の価格差に比べれば、ズミの値段なんて大したことないし!(苦。
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