α900+SAL50mm f1.4と、E-5+Summiluxの比較。どちらもISOは基準感度となる200にセット。シャープネスやコントラスト、彩度などはなるべく標準に近いもの(α900はStandard、E-5はNeutral)に設定。もちろん露出は合わせる。
α900は2400万画素あるため、記録サイズは「M」に。これでα900は4400×2936ピクセル、E-5は4032×3024ピクセルとなる。
撮影画像は以下のとおり。中心の葉っぱにフォーカスを合わせ、絞り優先でF値を変えながら撮影。絞りはそれぞれ、f1.4、f2、f2.8、f4。
(α900+SAL50mm f1.4開放で。フルサイズのため、周辺減光が大きい。ボケも、ぐるぐるボケや二線ボケが出ていて、あまりキレイではない・・・。)
では、比べてみよう。
では次に、E-5+Summilux。やはり上から、f1.4、f2、f2.8、f4。
いかがだろうか? フルサイズのf1.4開放はさすがに、使用を控えたくなる甘さだと言わざるを得ない。ただしf2以降は、急速にシャープさが立ち上がってくる。対してSummiluxは開放から、フルサイズのf2.8~f4相当の解像感がある。当然フルサイズは、絞るほど解像感を増すのに対し、Summiluxの面白いところは開放からf2.0くらいが解像マックスで、f4以降は回折現象のためか解像感が落ちる(ガンレフの測定結果からも分かる)ことだ。なんという開放番長……。
よく言われる批判が「フォーサーズはボケない」ということだけど、写真は単にボケればよいということではない。被写界深度を浅くするために、解像感やボケそのものの質を犠牲にしては本末転倒である。
その点Summiluxは絞り開放を安心して使える(というより、開放近辺が最高画質)ということで、深度の浅さを楽しむなら良い選択肢だと思う。最短撮影距離が38cm(一般に、フルサイズの50mmは45cm)ということも、実撮影では便利である。ただし回折の影響が早く出るため、絞り込んでの風景撮りには向かないかもしれない。
Pモード時の振る舞いにも気付かされたことがある。(開放からの画質に自信のある)E-5は、平気でレンズの開放f値を設定してくるのに対し、α900は絶対にf2より絞りを開けない(露出不足の場合でも、絞りを開けるのではなく、ISOを上げてくる)。意地でも開放値は使わせないぞという、カメラ自身の強い意志を感じる。メーカーとしても、「物理的にはf1.4まで開けられるけど、実質的な開放値はf2」という意識があるのかもしれない。
このことからも、よく雑誌などで行われる「ISOを揃えてノイズを比較し、その結果をもって画質のよしあしを語る」という比較が、実撮影でいかにナンセンスかが分かる。例えばSummiluxがf1.4、SS1/60、ISO200で適正露出を得られるとき、フルサイズ50mmで同等の画質にしようとするとf2.8、SS1/15、ISO200となり、手ブレを防ぐには絞りを開ける(解像感を犠牲にする)かISOを上げるしかない。ボディ側に手ブレ補正のないメーカーのモデルなら、なおさらだ。
その意味では、絞らないと期待する画質を得られないフルサイズは、高感度に強いフォーマットというより、“高感度に強くないとやってられないフォーマット”だとも言える。単なる高感度比較ではなく、撮影状況に即した「どのEV値まで基準感度でブレずに撮影できるか」比較などを実施すれば、開放から使える明るいレンズと、強力な超音波式手ブレ補正、そしてEV-2まで効くAFを備えたE-5は、はかなり良い成績を収めるのではないか。
ここはフォーサーズ中心のblogなので、なんとなくフルサイズをくさしたような形になってしまったけれど、実撮影ではフルサイズ+50mm単焦点というのは、とても楽しいものである。特に手元のα900のファインダースクリーンは、スーパースフェリカルアキュートマットに換装済みなので、マニュアルフォーカスが楽しすぎる(測拒点の少なさはまったく気にならない。ファインダー全域で快適にMFできるので)。それに十分に光量があれば、あるいは三脚を立てられるならば、十分に絞り込んだ際の画質のシャープさは、やはりフルサイズが有利だろう。
フルサイズに50mmという組み合わせは、カメラのあらまほしき姿だとも言える。撮影時も、その後の写真チェック時もノスタルジーに浸れる幸せな組み合わせだ。ソニーには早く、Planar 50mm f1.4ZA SSMのリリースをアナウンスしてほしいものだ。
こんにちは。
記事を大変興味深く拝見させて頂きました。
一点だけ気になる文がありましたので、僭越ながら指摘させて頂きます。
>>ただし回折の影響が早く出るため、絞り込んでの風景撮りには向かないかもしれない。
と、書かれていますが、同じ被写界深度を得るために絞った場合の回折の影響は、
センサーフォーマットのサイズに依存しません。
仮に、フォーサーズと35mmサイズの撮像素子の幅に2倍の差があるとし、画角は
同一であると仮定します。
フォーサーズでF4で得られる被写界深度は、35mmではF8にすることで得られます。
回折の影響(エアリーディスクの直径)は単純にFナンバーに比例するため、この場合、
35mmのF8の方が回折の影響が大きいと言えます。しかしながら、イメージサイズ
(幅)がフォーサーズの2倍あるため、像全体に対する影響度としては、丁度相殺される
形になります。
よって、同じ被写界深度を得ようとした場合の回折の影響は、フォーマットサイズには
よらないと証明されます。
一般に、風景などを(フォーサーズと比較して)35mmサイズで写したほうが解像感が
高い理由は、単純に画素数が多いためだと考えられます。
投稿情報: ワイヤーケーブル | 2011/07/11 01:13
ワイヤーケーブルさん、こんにちは。
blogを放置ぎみでお返事が遅くなりすみません!
>イメージサイズ(幅)がフォーサーズの2倍あるため、
>像全体に対する影響度としては、丁度相殺される
なるほど、確かに考えてみればそうですね。ご指摘ありがとうございます。
> 一般に、風景などを(フォーサーズと比較して)35mmサイズで写したほうが解像感が
> 高い理由は、単純に画素数が多いためだと考えられます。
高画素もよいですが、ローパス問題の解消を図ったE-5/E-P3の解像感もなかなかで、
やはり4/3フォーマットは良いなと思っています。
投稿情報: Maaasya | 2011/07/23 17:16