2007年11月の発売以来、E-Systemのフラッグシップに君臨しているのは、言わずと知れたE-3だ。比較的近いクラスの同期といえば、ニコンのAPS-CフラッグシップD300、ソニーの中級機α700があるけれど、既にD300はD300sへと代替わりし、α700はディスコンになって久しい。α700の後継機は正式には音沙汰がないが、既にモックアップは公開されており、そして何より2008年にソニーはα900を発売している。
巷間のウワサでは、9/21から開催されるPhotokina2010のタイミングに合わせて、E-3後継機(仮に、E-5とする)が発表されるということになっている。オリンパスのキーマンは「4/3は継続する」と(一応)コメントしているし、写真家の田中希美男氏もつぶやいている(私見だけど、田中氏のつぶやきは、オリンパスの中の人による意図的なリークじゃないかなあ、と考えている)。
(ZDの誇るf2.0通しズーム、14-35mm SWDは、E-5でその進化を発揮するのではと期待しているレンズだ)
となれば、何も心配することないじゃないか、という気もするけれど、そうはいかない。4/3陣営は今、マイクロフォーサーズ規格のミラーレスカメラの成功に沸き立っている。マーケティングの方向も、我々おじさん世代ではなく、若い女性に向いてしまった。僕ら“クラシックフォーサーズ”のユーザーは、どこか置いてけぼりのような扱いをされている感覚があるのだ。
マイクロフォーサーズ規格の発表から程なく、オリンパスイメージングの小川治男氏は、インプレスによるインタビューの中で次のように話した。(原文へのリンク)
インタビューの本題に入る前に……と、小川氏はフォーサーズの長所について、今一度きちんと訴求したいと申し出た。「今回の発表でオリンパスがフォーサーズの開発をやめるのでは? といった憶測も出ている。しかし我々は毎年複数のフォーサーズ用ボディを発売する予定ですし、フォーサーズをやめるつもりは全くありません。マイクロフォーサーズを発表することで、フォーサーズのファンが“裏切られた”と思うことだけは避けたい」と小川氏。~(中略)~「機動性を確保しながら、十分な解像を得るにはどんなフォーマットが最適なのかを追求したのがフォーサーズですから、これをやめて他のフォーマットを再定義するなんてことはありません」(引用終り)
残念だけど、僕をはじめE-Systemに投資してきた多くのフォーサーズユーザーは、小川氏の意図に反して“ひょっとして裏切られた……のかな”と感じていると思う。実際、「我々は毎年複数のフォーサーズ用ボディを発売する予定」としながら、2009年3月のE-620以降、ボディも、レンズも、まったく音沙汰がない。レンズにいたっては、ロードマップに存在していたZD100mm Macroのステータスが“開発予定”に後退してしまったというオマケ付だ。
それだけに、熱心な4/3ユーザーは、E-5のデキと、発表に当たってのオリンパスのコメントに注目しているはずだ。その仕上がりを見て、オリンパスが本気で開発した機種かどうか、今後の伸びしろや可能性が感じられるかどうか、そして新レンズへの言及があるかどうかを、息をひそめて(いや、ひそめてないか)窺っているはずなのだ。
僕がE-5に求める要素は、次のようなものだ。
・アシストAFポイントの追加と、それに伴うコンティニュアスAFの大幅な強化。
・最低でもE-PL1を超える高感度耐性と、ローパスフィルタの最適化による解像感。具体的には、E-5のISO1600が、E-3のISO640程度まで改善されていれば満足
・液晶の3インチ/92万ドット化
・パナソニックのGH1に準じた、マルチアスペクト対応の撮像素子
既存モデルで実装されているハイスピードイメージャAF対応や電子水準器の装備は必須。階調オートも、他社のように、効果のレベルを設定できるようになって欲しい。アートフィルターと動画は、、、あってもいいけど、なくても構わない(アートフィルターはE-5には似合わない。“E-5だけはオリンパススタジオでのRAW現像時に全てのフィルターを適用可能”というような仕様がいいのではないか)。
いずれにせよ、ウワサどおりにPhotokinaに合わせて世に出てくるのなら、もう仕様は固まっているはずだ。ユーザーである僕らは、それが期待を超えるものであるにせよ、そうでないにせよ、もう待つことしかできない。
女性向けにPENをプロモートするのは構わない。他社のミラーレスカメラも売れている今、商機を逃すべきでないことも理解できる。でもオリンパスはこれまで何度も、「4/3は継続する」「開発は並行して進めており、順調」「ダブルフォーサーズでいく」「マイクロではカバーできない分野がフォーサーズにはある」・・・とユーザーに言い続けてきた。僕らは十分に待った。E-5に、オリンパスがカメラ事業に託す理想が具現化されていることを、願ってやまない。
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