でもその生い立ちは、決して恵まれたものではなかったと思う。もしかしたら、歴代のE-Systemボディで、いちばん数が出なかったモデルかもしれない。オリンパスの生真面目な性格が災いしてか、E-30には兄貴分であるE-3と同等のAF性能や1/8000秒対応の高速シャッター機構が盛り込まれ、ボディ単体の初値が(E-3とさして変わらない)12万円ほどになってしまった。当時のユーザーの声も、「高い」「これならE-3を買う」というものが多かったように思う。カメラボディとしての基本性能には奢られた箇所が多かったけれど、防塵防滴が謳われなかったことも、広い支持を得られなかった原因かもしれない。
だけど僕は、細かーく仕様を確認した上で、E-30を選んだ。結果として、妥協のない良いボディだと思っている。
よく「オリンパス機はAFが弱い」と勘違いされることが多いのだけど、E-3と、そのAFユニットを受け継いだE-30に限っては、そんなことはない。同世代のライバル機であるニコンのD90、キヤノンの50DとAF性能を諸元で比較してみても、、、
OLYMPUS E-30:11点全点ツインクロス測距、測距可能な輝度はEV-2~19
CANNON 50D:9点全点クロス測距、測距可能な輝度はEV-0.5~19
NIKON D90:11点測距(クロス測距は中央1点のみ)、測距可能な輝度はEV-1~19
……というように、E-30の性能がアタマ一つ抜けている。これはE-30が一番、測距点の数が多く、精度に優れ、かつ暗いところでもAFが合うということ。実際の使用感でも、高速で信頼に足るオートフォーカスだと思う(またD90は、最高シャッターが1/4000に留まっているのも残念な点)。ただしオリンパスは、動体追尾AF(コンティニュアスAF)の制御が弱いようだ。測距点の間にアシストAFポイントがないからかもしれない。
だいたいにおいて、E-30の優れた点って、目立たないところ、ユーザーが気づきにくいところに、存在する。圧倒的なダストリダクション(僕は4/3ボディを使っていて一度も、ゴミの写り込みに悩まされたことがない)しかり、最大5段を謳う超音波式の手ブレ補正しかり……。普段はその恩恵に気付かなくても、ほかのマウントに浮気をすると、E-Systemのありがたさに気づく。特に自分は、屋外での風景・静物撮りが中心なので、ゴミを気にせずレンズ交換したり、三脚を立てずに低速シャッターを切れたりすることに、魅力を感じる。僕は平衡感覚もアヤシイので、ファインダー内に表示できる電子水準器も本当に助かっている。
今は、E-30とE-420のコンビで撮映に出かけることが多いけど、E-3後継機(E-5)がリリースされたら、E-5とE-30のコンビにするつもり(なんだかんだ言って、E-420の3点AFは物足りないのだ)。実はこのことも、当時E-3ではなくE-30を選択した理由だったりする。フラッグシップ機は、フラッグシップ機のサブボディには成り得ない。E-5&E-3の組み合わせより、E-5&E-30の組み合わせのほうが、トータル重量を軽減できるし、世代が近いから違和感なく使えるはず。E-3だとコントラストAF未対応で、電子水準器も無いし。
E-30の残念なところって、背面液晶が23万ドットなことかなあ(ライバル機はおおむね92万ドット表示)。その分、バリアングル液晶ではあるんだけれど。
あ、アートフィルターに全く言及してないや……。
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