・・・といっても、ほんの数分、いじっただけ。残念ながら画像は無し。操作性などにも踏み込めなかったので、表面的な感想だけをさらりと。
外観からはまず「コンパクトだな」という印象を受ける。なんというか、そう“小さなおむすび”といった感じだ。かと言って、質感は悪くない。プラ部分の梨地処理も僕好みの仕上がりだ。そしてグリップにはしっかりとした深さがあり、僕の手でもホールド感は良い。でも大きなレンズは合わないだろう。18-55mm SAMや、35mm f1.8 SAMをカジュアルに使うのがベターだと思う。
ドライブモードを設定し、連射を試してみる。当たり前だが、そのミラーショックの少なさには、違和感を覚えるほど。手ブレ補正との合わせ技で、片手でも十分に撮影可能と思わせるフィーリングがある。
3インチ/92万ドットの背面液晶は美しく、高精細。あるレビューでは「α900にも匹敵」とされていたEVFだが・・・α900ユーザーは安心して欲しい。あの光学ファインダーとは比較の対象にならない。オリンパスのVF-2ユーザーも、α33/55のEVFを羨む必要はない。「パナG1とあまり変わらないな」――これが、α33/55のEVFに対する印象だ。
ただし、実用性という観点では十二分の品質。特にα300系のOVFと比べると、圧倒的にα33/55がマシだろう。
マウントを覗き込むと、透過型のペリクルミラーがお目見えする。当然、CMOSが透けて見える。正直に言うと、ゴミが心配だ。ソニーは今回も、超音波式のアンチダストを採用しなかった。α33/55の場合、撮像素子だけでなく、ミラーに付着するゴミも問題になるだけに、ゴミに関して無策なのは不満(正直に言うと僕は、この一点が改善されない限り、αのボディを追加する気はない。だからα33/55も買うことはない)。
とはいえ、α33の標準ズームキットが初値で8万円前後の見込み。早晩、ポイントやら何やらも込みで、実売7万円を切るだろう。となると「カメラはキャノニコに限る」という刷り込みの薄い若い層に、特に支持されるのではないか。コンサバなエントリーDSLRであるニコンD3100やキヤノンKISS X4と比べても、十分以上に訴求力があると思う。
ソニーの抜け目のないところは、α700やα900を使う、既存のクラシックなDSLRユーザー向けのメッセージも怠りないあたりだ。尖った製品(α33/55)のリリースと同時に24mm f2 ZAを発表したり、ロードマップとしてα700後継機の画像を示したり。マウントの継続性をアピールする大切さについて(残念ながらオリンパスと違って、、)よく分かっているなと思う。
従来のDSLRには、コンデジから買い換えたユーザーにとって、「液晶ライブビューがしにくいし、動画も撮れない」というように、ユーザー体験が後退してしまう部分もあった。僕も何度、「あれ? なんでこのカメラ、液晶見ながら撮れないの?」と言われたことか・・・。だがα33/55は、コンデジに劣る部分はどこも無い。かつ「位相差AFで秒速10コマ」や「視野率100%」といった、高級機にしか用意されないファクターを、メカトロではなくエレクトロニクスで解決してしまったのだ(代償として、バッテリの持ちは悪いようだけど。連続撮影枚数330枚って、連射してたらあっというまに電池切れちゃう)。
なんにせよ今回は、
「OVFかEVFか」
「レフレックス式かミラーレスか」
「位相差AFかコントラストAFか」
というような、従来の枠組み内だけで二者択一する視点を止揚し、さらっと“いいとこ取り”をした製品をリリースしたこと自体に注目したい。お仕着せにとらわれないこのカジュアルさは、いいなと感じた。
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